アメリカのアートセラピストでバージニア大学のアートセラピーのMatthew Bernier教授と人形操り師Roosa Halmeは、サタクンタ県の介護施設、児童施設、二ヶ所の特別支援保育園を2012年9月に訪れました。すべての訪問で、Halmeは、積み木シアター-作品とワークショップを指導しました。Bernier教授は、観察、分析し、機会を許す限り参加しました。作品とワークショップの最後には、対象者と施設のスタッフと共に、彼らの体験談、観察、感情について意見を交換しました。

すべての積み木シアターで使用した様々な木種からできた積み木の長所は、中立であることです:積み木は、善悪がなく、性別もありません。積み木は、使用者に自我の思考と想像する余地を与え、そうすることによって、記憶に残るようになります。積み木は、児童、若齢者、高齢者自身に、積み木が何になるか、何を意味するかという決断力を与えます。積み木の感触、形、香りもまた重要な役割をしています。単純な積み木が驚くべき多感の要素を持っているのです。

特別支援保育園の児童達は、積み木シアター劇のキャラクターや出来事に対して、上演中のびのびと発言していました。普通の反応は、どんなキャラクターが積み木からできるかひそひそ話をするだけです。子供達は、バイクの音やふくろうの鳴き声など簡単に作品の音を真似し始めます。児童達は、リズムのある音楽に乗り始め、動いたり手拍子をしたりします。ワークショップでは、児童達は、自身の家族を作ります。再婚家族やひとり家族など積み木から様々な形の家族が生まれます。課題は、児童達についてスタッフが知り得ている以上のことを知ることがあります。例えば、ある特別支援児童が、家族を作る際、母親を作りませんでした。児童自身、母親は他界したと説明しましたが、実際は、母親は児童と一緒の時間を過ごしていなかったことがわかりました。このようなことが、家族について児童自身の経験や物語を表す方法になったのです。またある特別支援児童は、家族に説明のできない幽霊のキャラクターをいれました。積み木のキャラクターを児童に聞くと、児童自身その積み木が家族の一員だと気づきませんでした。Bernier教授によると、そういった場合のキャラクターは、例えば亡くなった家族の一員だったり、施設のスタッフだったりすることがあるそうです。

児童福祉施設で、ペア又はグループセッションに不慣れな反抗的な若齢者達が、集中して、固唾を呑みながら作品を見て、ワークショップでは、個人でもグループ作業でも偏見なく参加したのを見て、スタッフは驚きました。若齢者の手から積み木は、屋根に刑務所がある未来の家や豪邸に変わり、テーマは、歌うラップアーティストと自動車などに広がっていきました。

最後の作業は、それぞれが順番に積み木を積んでいき、みんなで共同作品を作りました。積み上げている間、みんなはお互いに次の積み木はどこに置いたらいいか相談しあっていました。そこからそれぞれが怯えている大きな動物が生まれました。相談の結果、作品名は、Boogey Hoganに決まりました。共同作品は、それぞれの参加者が、積み木からできた動物に対して考えたり、恐怖について話し合ったりすることがリラックスしてできるようになりました。積み木によって、表面上から、より深いテーマについてまで話し合い、繊細なことがらまで、話すことができるようになりました。後に、若齢者達は、学校で、積み木シアター訪問についての体験をアンケートで答えました。一部は、「幼児の振りをして遊んだ」というように、挑発的な答えもありました。スタッフの意見で、本当に正しいアンケート結果は、ワークショップでの若齢者達のその時の行動にあると思っています。

介護施設では、介護者と共に施設の全ての入居者が劇を観ました。上演は、お祝いのようで、期待が膨らんでいました。入居者達は、劇と本物の役者が訪れたことに興奮していました。上演中、観客の反応は感じられませんでしたが、興味深そうでした。上演後、入居者達に積み木が与えられました。彼らは、特に積み木の表面、香り、形を感じたり、誰が作ったのが考えていました。高齢者は、Halmeと積み木を作成した大工を賞賛しました。

介護施設では、ワークショップは、子供時代の家族を作ることからはじめました。多くの家族は大家族で、積み木がたくさん必要でした。同時に家族の日常について話す刺激を与えられました。高齢者には、子供時代、亡くなった家族、故郷について思い出す機会が与えられました。高齢者は、とても注意深くどの積み木がどの家族の一員か考えました。ある入居者は、長い間どの積み木が自分か考え、最後に一番美しい積み木を選びました。別の高齢者は、好きな場所を作りました。それは、例えば、子供時代の家だったり、仕事場だったりしました。納屋やサウナ小屋の壁が建つと、高齢者たちは、自身の子供時代や青春時代について語り始めました。テーブルに自身の家、庭やリンゴの木が順番にでき始めるたびに、記憶が具体化してきました。抽象的に自身の頭で描くよりも、積み木の建物を自身の目でみることによって、記憶が言葉により簡単に変わります。ある参加者は、積み木によって、過去の新しい出来事を思い出しました。3つの積み木をランダムに配置したことによって、突然それらがキオスクのベンチとキャッシャーに見え、そこからキオスクで働いていたことを思い出しました。この記憶は、スタッフにも新しいものでした。

詳細はプロジェクト報告書からご覧ください: 積み木シアターの治療の可能性 (リンク)(フィンランド語のみ)